陰毛大臣

人間オタク

だらだら書くアイカツとの出会い

当時学生の僕は病んでいた。

仲のいい友達は全員別のクラスになり、良くも悪くも普通のクラスに配属されてしまった。天邪鬼な僕は普通が嫌いで、何かの常識をぶち壊したくて仕方ないような気持であった。そんな心意気もむなしく、クラスメートは徐々に固まり続ける。休み時間になると固まって話す。そんな印象があったのを覚えている。しかし固まって話している輪の中に入っても特に自分のツボに入るような面白い話もなく、中心となって既に話すような立場でも無くなっていた。

僕は授業間の休み時間になると狸寝入りするようになった。

クラスメートとは話そうと思えば話せるが、特に自分の周りには好んで集まって来ない。そういう時期であった。

僕はクラスメートに対する信頼を失くし、会話しながらも疑心暗鬼になることが多かった。

 

一人で帰宅している時に何の気なしに途中の王子駅のゲームセンターに入った日の事である。

その日はゲーセンでUFOキャッチャーの下やおつりからお金を拾うぞ、という腐れ乞食みたいな事をしにお金を使う気もなくゲーセンに入った。

結局お金は一円も拾えず、無駄な時間を過ごしたなと恐竜を戦わせるカードゲームの誰もいない筐体の椅子に座って休んでいた。

「本当につまらないなあ」

つまらなくて病んでいる時こそ不思議と無駄にお金を使いたくなってなってしまう事は無いだろうか。

病んでいる僕のやり場のない目線の先にはたまたま空いたアイカツの筐体があった。

アイカツおじさん」という単語が巷では流行していて、それはアイカツの筐体に座る大人、おじさんのことを指す単語だった。今となっては大人が筐体に座る姿は珍しくもないのだが、そのような人たちが単語化して呼ばれるようになったのはこれが最初なのではないだろうか。

アイカツ、やるか」

本当にお金を使えればなんでもよかったのだと思う。ただ目線の先にアイカツの筐体が雑然と置いてあったため、僕は腰を上げてアイカツに座ってコインを入れた。

 

むちゃくちゃ面白かった。

 

ただ出てきたカードを使ってリズムゲームをするだけなのだが、お金を入れてく毎にカードは増えていき、何もなくてグレーのダサい布しか付けていなかったキャラが服を纏はじめるのだ。しかし服装にはやはり組み合わせがあり、アイカツの洋服は奇抜なものも多い為にただ出たカードを組み合わせるだけではいいコーデにはならないのだ。

そしてたまに出てくるレアカードもなかなか嬉しい。コーデには合わせづらいのだが。

 

気づいたら一人で20回くらいプレイしていた。

そして財布の中身が尽きかけたころ、プレイするのを辞めて本腰を入れるために学生証(セーブデータを保存するICカード)を買いに行った。

 

それからは王子のゲーセンでも地元でも池袋に行っても狂ったようにアイカツしていた。もはや今考えると何が面白かったのかもわからないが、狸寝入りした僕をキモいおじさんとして殻を破ってくれた嬉しさもあったのだろうと思う。

 

それから何故か風俗嬢と付き合うというイベントが少々あり(割愛)

振られた時には筐体も辞め、また心がどん底に落ちかけていた。そんなときにアニメを見た。

 

むちゃくちゃ面白かった。

 

先日の記事でも上げたが自分の中でアイカツは面白いアニメで、何が面白いって、

マイナスな感情が無くて主人公が常識をぶち壊した様な人だったからだ。

僕のズブズブ落ちていった心を星宮いちごちゃんは「早く”こっち”来いよ」って釣り上げてくれた。

 

おかげで僕はアイカツを見ているうちに少しずつ人間に戻って、またアイカツに助けられてしまったのだ。

 

 

現在人間ぽくなった今はアイカツは終わりスターズの映画までは見たのだが、

「なんか別物だな」という感覚に陥ってアイカツのアニメを追うことは無くなってしまった。

それでもふらりとアイカツの展示会に行ってみたりすると僕があのころ狂ったように遊んだ筐体が置いてあって、そして未だに僕の財布の中に入っている学生証(ICカード)を取り出し、100円を入れてマイキャラを見ると懐かしい気持ちに駆られたりしてしまう。

 

 

 

武道館に新木場アゲハおめでとう。全てのアイカツファンに平和を。