陰毛大臣

人間オタク

田中美海

家を飛び出して駅へと駆けるなり彼女はそこに居た。

 

あたりまえに見た不可思議な時。

 

気分は急に上昇してその事に少し後悔した。

 

「みにゃみ。」

 

「まーくん。」

 

彼女はスマホの画面を僕に向けた。

 

 

まーくん

1998年4月30日生まれ

フォロー24    フォロワー 37

【固定ツイート】

みにゃみに精液飲んで貰えたら死んでもいい

 

 

「まーくんの事、いつも見てたよ。いつも気持ち悪いくらいの言葉ありがとう。」

 

 

「今日は仕事の休み貰ってまーくんの精子を貰いに来ちゃった。」

 

画面の中で何度も見慣れた顔と喋る時の仕草。

 

 

「こッ、こッ、ッ、こンにちは」

 

だっせえ。

全く夢じゃないのはわかっていて、頭はわかっているのに体だけは正直だ。

僕は誰か、吃った音が僕なのだ。

 

「はやくきて」

 

まるで僕を理解していたかのように

雑音には耳もくれず僕の手を引くみにゃみ。

 

天使が天国へ迎えにきたんだ

 

 

 

 

手を引かれるまま入ったエレベーターは上昇を始めた。

「やっと2人きりになれたね。」

 

みにゃみは僕の前に屈み、ベルトを外して服を下ろした。

僕の秘部は既に艶めかしくてみにゃみはそれを喜んだ。それから口淫をして愛撫した。

 

 

僕が辛い時いつも心の支えにしていたみにゃみ

写真や動画を見てはもう少し生きようと活力を貰っていたみにゃみ

 

そんなみにゃみの尽くす姿に耐え切れなかった。

僕とエレベーターは直ぐに登った。

 

 

 

 

「ここは42階、屋上だよ。それじゃ君の言葉通りにしたから死んでね。」

42階の風が吹く場所で彼女は笑った

 

みにゃみに精液を飲んで貰った

確かに僕がつぶやいた言葉通りになった

そして今彼女は僕の死を求めて笑っている

 

誰だこの目の前の閻魔は

 

「ミミミミミミみみ、みみにゃみ、ああッあ、あ、ありがとう。」

 

言いたい事は沢山ある

けれど唸った音は僕だ。僕はこれだけ。

 

 

閻魔が地獄へ迎えにきたんだ。

 

 

田中美海に眺められ

よろよろとビルの淵に立った僕は情なくてダッサーく地面を蹴り上げた。

 

 

 

 

 

おわり